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“異種格闘技”とは……

 かねてより予告していた異種格闘技論です。色々と思うところがあるので、シリーズ化するかもしれません。ま、武神降臨に参加してる人や、格闘技のテレビを見る、そして何よりもMMAのキャラを考える人は、目にしてほしいなあと思っとります。わかりやすくやろうと思うので。

 さて、異種格闘技について語るためには、異種格闘技の定義をしなければなりません。定義を考えようにも、色々と意見が分かれるところだと思います。総合格闘家が戦えばそれは異種格闘技じゃない、武器はダメ、リングの上での戦いは異種格闘技じゃない、とか……。
 とりあえず、ここでは以下のように定義させてもらいます。

 異種格闘技とは、洗練されてない技術同士で戦う決闘である。

 これが定義です。その上で言わせて貰います。「異種格闘技は死にました」。

 洗練と言われてもなんのこっちゃ、と思われるかもしれません。洗練した技術と言うのは、「最適化」とか「適応」と言う言葉が近いと思います。

 武神降臨を例にとって考えてみましょう。

 空手家キャラを造ったことある人、手を上げてー。空手家じゃなくても、キックボクサーでもボクサーでもテコンドー使いでもいいです。その当たりで。作ってない人は、これから作ろうとしてみてください。その上で、御題は「達人カウンタータイプ」です。
 色々と必須の動作がありますね。カウンター達人ならば【見切り】は必須ですし、自分から攻めるために【フェイント】【予備フェイント】も必要でしょう。
 そして空手家の天敵、各種関節技に対抗するためには【突き放し】が必須です。

 ここです!

 【突き放し】とはどういう技術でしょう?
 「組まれないために必要な動作」です。言い換えれば、「組まれない戦いには必要のない動作」です。組まれない戦いと言うのは、空手家もキックボクサーもボクサーもテコンドー選手も普段から経験するでしょう。つまり、彼らは普段の練習で【突き放し】を覚える必要は全くありません(「クリンチがあるじゃないか!」と言うのはこの際ナシね。【突き放し】を空手家やボクサーの組み付き対策でとる人がいれば別だけど……)。
 にも拘らず、武神に出場する空手家でカウンターキャラはほとんどが【突き放し】を持っていますよね。何故か?

 勝つためです。

 武神降臨では所謂「柔法キャラ」と言う言葉で括られる、組み技主体のキャラとも戦います。彼らに勝つにはどうするべきか。組まれない戦いをしなければならない。そのためには、空手家が空手の試合でやらないことも覚えなければならない。
 これが「最適化」です。
 上位選手は勝つために、空手にはない技術を覚えます。そうすることで、打撃以外にも武神降臨で有効とされる行動への対応力を高めるわけですね。
 逆に言えば、空手家が【突き放し】を覚えると言う行為は、「武神降臨のルールに適応するための空手家からの脱却」なんですよ。そう言った選手はもはや「空手家」ではなく「武神降臨の選手」です。
 ここまで言えば、大体のことはつかめてもらえるでしょうか。
 
 武神降臨には、空手とも柔道とも違う、武神降臨用のルールがある。
 武神降臨用のルールで勝つためには、自分の流派の技術から脱した武神降臨のルールにあった戦闘技術を覚えなければならない。
 自分の流派の技術を脱し、武神降臨にあわせることを「最適化」「適応」とする。
 「最適化」「適応」した選手は、もはや洗練した技術の持ち主であり、「武神降臨」と言うルールで戦う選手である。
 洗練した選手でなければ武神降臨では生き残れない。

 こんな感じですね、大体は。
 セイセイセイ、体力で振りほどくから【突き放し】は覚えない?

 成る程、では質問を変えましょう。ちょいと意地悪な質問です。
 【振りほどき】で関節対策をしている空手家も多いと思います。…空手家が組まれたときに振りほどく練習ですか?
 〈足運び〉を持ってるキャラクター、例えば〈足運び/山林〉もちの柔道家。…柔道の試合は、山林で行いますか?
 【受け止め】でのダメージ軽減確保のために、〈空手〉を覚えている柔道家。…柔道の試合で殴られますか?
 先手必勝のためのイニシアティヴを確保しようと【ステッピング】する喧嘩屋。…喧嘩屋が〈型〉と〈礼儀作法〉?

 とまあ、挙げていけばキリがないわけですよ。

 何? 僕の流派は山林と海辺と海上で試合することを想定してて、打撃も組み技もこなす古武術?
 うーん、そう言われると反論はできませんね。「武神降臨のルールに合わせてるわけじゃないが、僕の流派は何もしなくても武神降臨に完全適応している!」と言う人は、何もひねらずに異種格闘が可能です。それに関しては俺の負けです。

 まあ一部の例外はさておき。こうして考えると、本当の意味での異種格闘家って存在しないと思うんですよ。ただ、それって別に悪いことだと思わないんですよね。俺はむしろいいことだと思ってるんです。
 誰もが勝ちたい。だから武神降臨と言う枠があれば、それに適した自分を創りこむ。そうして参加者全員が異種格闘家としてのカタチを捨てて、武神降臨と言う1つのルールにはまった選手になり、そのルールに適応したもの同士で洗練された技術のぶつかり合いになる。

 ……ね? 「異種格闘技」って言葉、死んでると思いません?
 野球とサッカーが戦えないのと同じで、本当の意味で空手と柔道が「異種格闘技戦」と言うカタチで戦えると思います?
 仮に戦ったとしても、それは洗練されてない決闘(武神で言えば、【突き放し】も【振りほどき】も持ってない空手家と、打撃に対して【受け止め】をしてもダメージ軽減できない柔道家、しかも両者とも〈足運び〉なしの試合。講評を書くGMは色々と大変です)。……少なくとも、「武神降臨という括りの中」で考えた時に、その試合を「ハイレベルな攻防」とは言えないでしょうし、「最強はどっちだ!」なんで言葉が出てきます?

 まあバキも今やギャグマンガなんで、そこに突っ込むのもどうかしてるのかもしれません。ただ、「異種格闘技」と言う言葉に毒がありすぎるのも確かです。少なくとも、格闘技モノで上記の点をしっかりと踏まえて演出してるものって少ないと思うのです。なのであまり考えたことがないであろう「異種格闘技」について考えるキッカケになればなあ、とこうして書いてみました。

 さてさて、しかしながら「やはり異種格闘技がやりたい!」と言う人は多いと思います。ぶっちゃけ、上の説明で通じるなら、MMAの参加者はもっと多いです(MMAの敷居の高さの1つは「MMAとしての競技性の説得力と門戸」と言うのを指摘されてるんですが、まさにそうだと思います。やっぱり異種格闘技に憧れる人は多いわけで)。
 そこで、次回があるならばポジティブに異種格闘技(家)について考えてみようと思います。
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